日本繁殖生物学会 講演要旨集
第106回日本繁殖生物学会大会
セッションID: OR1-21
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性周期・妊娠
ウシ子宮内膜間質細胞および上皮細胞ではPtgs2(Cox2)発現は時計遺伝子Rev-erbαによって抑制的に制御されている
*諌山 慧士朗陳 華濤山内 伸彦服部 眞彰
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抄録

【目的】哺乳類の発情回帰を決定するのは子宮内膜由来のプロスタグランジンF2α(PGF2α)分泌であるが,その分泌調節の制御は未だ不明な点が多い。ラットをモデルにした研究から,子宮内膜で時計遺伝子が発現し,卵巣ステロイドホルモンによって制御されることが分かっている。プロスタグランジン合成律速酵素の遺伝子Ptgs2/Cox2のプロモーター領域には,時計タンパク質の制御を受ける配列が複数存在している。そこで本研究では,時計遺伝子Bmal1のRNAi,および核受容体でもある時計遺伝子Rev-erbαのアゴニスト・アンタゴニストを用いて,ウシ子宮内膜細胞でのPtgs2/Cox2の発現調節の解析を行なった。【方法】子宮内膜間質細胞および上皮細胞はそれぞれP4およびE2で感作させ,forskolin(2h)による同期化処理を行った。同期化して総RNAを抽出し,RT-qPCRにより遺伝子の発現を定量した。またBmal1のsiRNA,Rev-erbのアンタゴニスト(SR8278),およびアゴニスト(heme)で細胞を処理し,同期化して同様に遺伝子の発現を定量,およびEIAによるPGF2α定量のため培養上清を回収した。【結果】同期化後48hまでP4処理の間質細胞では高いRev-erbα発現を示すのに対し,Ptgs2発現は強く抑制された。一方, E2処理の上皮細胞ではRev-erbα発現の減少に伴ってPtgs2発現が顕著に増加した。siRNA 処理した間質細胞ではPtgs2発現は抑制されたが,上皮細胞では変化は見られなかった。SR8278処理を行なうと両細胞ともPtgs2発現が有意に増加したが,heme処理では発現に変化はなかった。さらにSR8278処理を行なうと両細胞ともPGF2αの分泌量が有意に増加した。以上のことから,ウシ子宮内膜の間質細胞および上皮細胞の時計の振動に違いはあるものの,Ptgs2の発現は時計遺伝子Rev-erbαによって強く抑制されていることが示唆された。

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© 2013 日本繁殖生物学会
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