日本繁殖生物学会 講演要旨集
第106回日本繁殖生物学会大会
セッションID: OR2-23
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内分泌
馬血中ステロイドホルモン濃度の迅速測定への小型免疫発光測定装置(PATHFAST)の応用
*登石 裕子角田 修男田上 正明橋本 裕充加藤 史樹鈴木 吏永岡 謙太郎渡辺 元徳山 翔太奥田 潔田谷 一善
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抄録

【目的】馬の繁殖現場において,プロジェステロン(P4),エストラジオール(E2),テストステロン(T)の血中濃度は,発情周期,妊娠状態,精巣機能の診断などに必須の情報である。これまでのホルモン測定には,ラジオイムノアッセイ(RIA)やエンザイムイムノアッサイが用いられてきたが,結果を得るまでに時間を要することが難点であった。近年ヒトの医療で使用されているPATHFAST(三菱化学メディエンス株式会社)は,全血を用いて蛋白質ホルモンとステロイドホルモンを26分で測定可能である。PATHFASTを用いて馬の血中ホルモン濃度を測定できれば,馬の繁殖現場で極めて有用である。今回は,馬の血中ステロイドホルモン濃度の測定にPATHFASTが使用可能か否かについて検討した。【方法】研究には,雌雄サラブレッド種を用いた。P4測定には,黄体期雌馬3頭,E2測定には,妊娠馬5頭,T測定には,雄馬6頭を使用した。いずれの馬からも全血と血清を採取した。全血は,PATHFASTにて,血清はPATHFASTとRIA法にて測定した。【結果】P4,T,E2ともにPATHFASTで測定した全血と血清の値に正の相関関係が認められた。また,PATHFASTで測定した血清とRIA法にて測定した血清の値に正の相関関係が認められた。PATHFASTで測定した値がRIA法に比べて高い傾向を示した。【考察】本研究の結果から,馬血中P4,T,E2濃度共にPATHFASTで測定可能であることが明らかとなった。しかし,PATHFASTで測定した血中ホルモン濃度は,RIA法による結果よりも高い傾向を示したことから,測定値の評価に際しては,PATHFASTによって測定した馬の各種生理的状態における各種ホルモン濃度の基準値の設定が必要である。

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© 2013 日本繁殖生物学会
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