日本繁殖生物学会 講演要旨集
第106回日本繁殖生物学会大会
セッションID: OR2-24
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臨床・応用技術
C57BL/6Jマウス未成熟卵におけるガラス化保存後の体外発生能
*藤原 克祥越智 梓伊藤 潤哉柏崎 直巳
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抄録

【目的】未成熟卵のガラス化保存は遺伝資源の保存において重要な技術であるが,加温後の受精能および発生能は著しく低下する。我々は前回大会において,カルシウム(Ca)無添加,エチレングリコール(EG)添加保存液でガラス化保存したICRマウス未成熟卵は,加温,体外成熟(IVM)および体外受精(IVF)後に高い生存性と発生能を有することを明らかにした。本研究では,このプロトコールを用い,ガラス化保存したC57BL/6Jマウス未成熟卵の体外発生能について検討した。【方法】過剰排卵処置したC57BL/6J雌マウスの卵巣から未成熟卵を採取した。ガラス化保存は,採取した未成熟卵をCa無添加PB1に7.5% EGおよび20% ウシ胎子血清(FCS)を添加した平衡液に3分間平衡させた後,Ca無添加PB1に30% EG,20% FCSおよび0.5 M Sucroseを含むガラス化保存液に1分間平衡させ,クライオトップにより行った。加温未成熟卵のIVMは5% FCSおよび10 ng/ml epidermal growth factor (EGF)を添加したMEMαにより14時間培養した。未成熟卵はIVM終了後にC57BL/6J雄マウスの凍結融解精子を用いてIVFした。媒精終了後に成熟率および生存率,6時間後に前核期胚率,24時間後に2細胞期胚率,96時間後に胚盤胞率を調べた。【結果】ガラス化保存およびIVMした未成熟卵の成熟率は89.6%を示した。IVF後の発生率において前核期胚は55.2%,2細胞期胚率は55.2%,胚盤胞率は51.7%を示した。以上の結果より,C57BL/6Jマウス未成熟卵はPB1にCa無添加,EG添加保存液によりガラス化保存することで,加温,IVMおよびIVF後にICRマウス未成熟卵と同様な高い生存性と胚盤胞への発生能を有することが明らかとなった。

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© 2013 日本繁殖生物学会
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