日本繁殖生物学会 講演要旨集
第106回日本繁殖生物学会大会
セッションID: P-17
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卵・受精
牛初期胞状卵胞由来卵子の体外発育に及ぼすFSHと骨形成タンパク質4の影響
*坂口 謙一郎栁川 洋二郎姜 成植黄 偉平髙橋 芳幸永野 昌志
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抄録

【目的】牛卵子の体外発育培養 (IVG) 中の性ステロイドホルモン産生能と卵子核成熟能の関係を明らかにするため,卵子-卵丘細胞-顆粒層細胞複合体 (OCGC) をアンドロステンジオン (A) 添加培地で培養し,以下の実験を行った。【材料と方法】OCGCを4日間IVGし,形態が正常なOCGC (生存群) と顆粒層細胞が卵子から遊走あるいは卵細胞質が変性しているOCGC (死滅群) のエストロジェン(E)およびプロジェステロン (P) 産生を比較した。次に,生存群のIVG培地に0あるいは0.5 ng/ml FSHおよび0,10あるいは50 ng/ml骨形成タンパク質 (BMP) 4 を添加して6実験群を作製し,さらに8日間培養してE・P産生およびIVG後のOCGC生存率,卵子直径および核成熟能について検討した。【結果】IVG4日目に形態的に正常と判定されたOCGCでは死滅群に比べてE産生が高く,P産生は低かった。生存OCGCのE産生量は,全実験群においてIVG8日目まで増加し,12日目には低下したがP産生はIVG期間を通して増加した。BMP添加に拘らず,FSH添加はE産生を低下させ,P産生を増加させた。50-ng BMP添加によりE・P産生は共に低下したが,10-ng BMP添加ではE産生は低下せず,P産生のみ低下させた。IVG12日後のOCGC生存率はFSH添加によって高くなり,FSH無添加+50-ng BMP添加で低くなった。卵母細胞の直径はFSH添加+50-ng BMP添加の場合に最小となった。IVG卵子の核成熟率はFSH無添加+10-ng BMP添加で低くなったが,他群では70–80%で同等であった。【考察】牛OCGCのIVGでは,生存OCGCは発育中の卵胞に近いEおよびP産生能を示すがIVG期間延長と共に退行卵胞様のE/P比低下が認められた。しかし,培地にFSHと共にBMP-4を10 ng/ml添加することで,OCGCの生存性を高めると共にE/P比を高く維持することが示された。

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© 2013 日本繁殖生物学会
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