日本繁殖生物学会 講演要旨集
第106回日本繁殖生物学会大会
セッションID: P-18
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卵・受精
Endo-Porterを用いたマウス初期胚へのモルフォリノオリゴ導入条件の検討
*佐藤 由貴佐藤 梓織菅原 彩子春日 和小嶋 郁夫小林 正之
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抄録

【目的】アンチセンスモルフォリノオリゴ (アンチセンスMO)を用いた遺伝子ノックダウン法では,アンチセンスMOとMO導入試薬Endo-Porterを培養液に添加するだけで遺伝子発現を阻害することが期待される。しかし,Endo-Porterを用いたマウス初期胚へのMO導入例は報告されていない。そこで本研究では,マウス初期胚へのMO導入条件を検討した。【方法】2細胞期卵を用いてMO導入条件を検討した。はじめに,培養液に蛍光標識コントロールMO (10 µM),Endo-Porter (6 µM),BSA (3 mg/ml,60 µg/ml)を添加し,BSAがMO導入量へ及ぼす影響を検討した。次に,蛍光標識コントロールMO (10 μM),BSA (60 µg/ml),Endo-Porter (0,2,6,18 µM)を添加し,Endo-PorterがMO導入量へ及ぼす影響を検討した。蛍光顕微鏡により観察し,蛍光強度から導入量を比較した。【結果】蛍光標識コントロールMOを添加して培養した2細胞期卵は,BSAおよびEndo-Porter添加量に関わらず,培養3時間以内に細胞質において蛍光が検出された。胚盤胞期に到達した培養72時間後では,60 µg/ml BSAを添加して培養した場合,3 mg/ml BSAを添加した場合と比較して細胞質において強い蛍光が検出された。また,Endo-Porter添加量に依存して,細胞質において強い蛍光が検出された。しかし,18 µM Endo-Porterを添加した場合,胚発育が抑制されることが判明した。以上の結果より,60 μg/ml BSAおよび6 µM Endo-Porterを添加して培養した場合,MO導入量が最も多いことが判明した。また,このMO導入条件は初期胚の発育にほとんど影響を与えなかった。現在,ノックアウトマウス初期胚の表現型が既に判明しているOct4について,このMO導入条件に基づいてアンチセンスOct4 MOを導入し,その影響を検討している。

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© 2013 日本繁殖生物学会
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