日本繁殖生物学会 講演要旨集
第106回日本繁殖生物学会大会
セッションID: P-65
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精巣・精子
ブタ精原細胞特異抗体PSS1を用いた幼若ブタ精細管のホールマウント免疫蛍光染色
*大木 美奈金 允貞定兼 和哉小林 吉倫濱野 光市保科 和夫高木 優二
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抄録

【目的】我々はブタ精原細胞に特異的なモノクローナル抗体PSS1を作出し,日本繁殖生物学会(2007年)において報告した。PSS1抗体は,ブタ以外の精巣には反応せず,未分化な精原細胞の細胞質および細胞膜を認識する(北信越畜産学会,2012年)。また,PSS1抗体とFACSを用いて,幼若ブタ精巣より前精原細胞を単離できることを報告した(日畜学会,2013年)。今回我々は,精細管の中の精原細胞の挙動を探るために,幼若ブタ精細管のホールマウント標本の作製とPSS1抗体による免疫蛍光染色法について検討したので報告する。【方法】生後数日の幼若ブタより精巣を採取した。精巣を細切した後,ボルテックスにより精細管を精巣組織より遊離させ,ステンレスメッシュにより精細管のみを単離した。4%PFAで固定した後,Smear Gell(GenoStaff社)により精細管をスライドに貼り付けた。0.1%Triton/TBSで透過処理した後,PSS1抗体およびCy3標識2次抗体,HoechstおよびDAPIによりホールマウント免疫染色を施した。共焦点レーザー顕微鏡FV1000(OLYMPUS社)により蛍光イメージを取得し,3D画像解析を行った。【結果】幼若ブタ精細管のホールマウント免疫蛍光染色により,精細管の中のPSS1抗体陽性の前精原細胞を観察することができた。また,3D画像解析により精細管の中の精原細胞の位置を立体的に詳細に観察することが可能となった。生後間もない幼若時に,精原細胞は精細管の管腔に散在する形で存在していた。今後,性成熟に伴う精原細胞の挙動を観察するとともに,精細管の器官培養と精原細胞の経時的な変化について同手法を用いて検討を行う予定である。

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© 2013 日本繁殖生物学会
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