日本繁殖生物学会 講演要旨集
第106回日本繁殖生物学会大会
セッションID: P-92
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生殖工学
ZFNおよびTALENを用いたノックアウトラットの作製
*金子 武人真下 知士
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抄録

【目的】近年,ジンクフィンガーヌクレアーゼ(ZFN)やTALエフェクターヌクレアーゼ(TALEN)を利用したゲノム編集技術が開発された。ラットにおいては,この技術を用いることで,これまで作製が困難であったノックアウト系統をES細胞を使用せずに簡易かつ短期間で作製できるようになった。本研究では,ZFNおよびTALENを用いたノックアウトラットの作製効率について検討したので報告する。【方法】X連鎖重症複合免疫不全症(X-SCID)の原因遺伝子であるインターロイキン2受容体γ鎖(Il2rg)遺伝子を標的遺伝子としてZFNおよびTALENプラスミドを構築した。これらプラスミドからZFN/TALEN mRNAを合成し,PMSG-hCGによる過剰排卵処理後,自然交配により採取したラット前核期胚へ導入した。導入後の胚は,体外培養し翌日2細胞期に発生した胚を偽妊娠雌ラットの卵管内に移植することで産子にまで発生させた。【結果および考察】ZFNを導入した胚においては,得られた産子の33%に遺伝子欠損が認められた。一方,TALENを導入した胚においては,得られた産子の全てに遺伝子欠損が認められた。また,別の遺伝子を標的したTALENを導入した胚から得られた産子においては,その50%に遺伝子欠損が認められた。本研究成果より,ZFN/TALENはラット胚内でも十分機能することが明らかとなり,簡易かつ短期間でノックアウト系統が作製できることが明らかとなった。今後,本方法を用いて作製されたノックアウトラットが,様々な研究分野で利用されることが期待される。

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© 2013 日本繁殖生物学会
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