日本繁殖生物学会 講演要旨集
第112回日本繁殖生物学会大会
セッションID: OR2-3
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性周期・妊娠
ヒト子宮内膜間質細胞の脱落膜化における転写因子C/EBPβを介したヒストン修飾による遺伝子発現制御機構
*田村 功前川 亮高木 遥香白蓋 雄一郎三原 由実子品川 征大竹谷 俊明田村 博史杉野 法広
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抄録

【目的】我々はこれまで,ヒト子宮内膜間質細胞(ESC)における脱落膜化過程では多くの遺伝子が転写活性化マーカーであるH3K27ac修飾変化を伴い発現が上昇することを見出した。一方,C/EBPβは,脱落膜化に重要な転写因子であり,またクロマチン構造変換を起こすpioneer factorであることが知られている。そこで,脱落膜化におけるゲノムワイドなH3K27ac変化と遺伝子発現制御へのC/EBPβの関与について検討した。【方法】培養ESC において,SiRNAによるC/EBPβノックダウン(KD)下,非KD下で脱落膜化刺激(cAMP 0.5 mM,4日間)を加え,(1) ゲノムワイド発現解析をRNA-sequenceで,H3K27ac修飾変化をChIP-sequenceで解析した。 (2) ヒストンアセチル化酵素活性(HAT活性)を持つ遺伝子発現へのC/EBPβの影響を検討した。(3) H3K27ac変化領域に結合するHAT活性分子を公共のChIP-sequenceデータベースを用いて検索した。(4) 個々の遺伝子のプロモーターまたはエンハンサーにおけるC/EBPβとp300の結合,H3K27ac変化をChIP-qPCRで解析した。【結果】(1) C/EBPβは,脱落膜化で発現が上昇する4190遺伝子のうち2239遺伝子の発現を調節していた。このうち,1272遺伝子において脱落膜化によりH3K27acの上昇を認めた。C/EBPβのKDによりほぼ全て(1263遺伝子,99.3%)の領域でその誘導が消失した。(2) C/EBPβのKDはHAT活性を持つ遺伝子の発現に影響を与えなかった。(3) 結合しうるHAT活性分子としてp300が抽出された。(4) 脱落膜化によりC/EBPβの結合が誘導され,C/EBPβのKDによりp300結合,H3K27ac誘導が消失した。以上よりC/EBPβは,p300と共役しながら脱落膜化におけるゲノムワイドなヒストン修飾調節を担うことで遺伝子発現変化に寄与する重要な転写因子であることがわかった

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© 2019 日本繁殖生物学会
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