日本繁殖生物学会 講演要旨集
第112回日本繁殖生物学会大会
セッションID: OR2-2
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内分泌
低栄養時の生殖機能抑制に関わる神経経路は室傍核ダイノルフィンAニューロンを仲介する
*土田 仁美井上 直子上野山 賀久束村 博子
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抄録

哺乳類の生殖機能は低栄養状態で抑制されるが,これは低栄養シグナルによる性腺刺激ホルモン放出ホルモン(GnRH)/性腺刺激ホルモン分泌の抑制に起因する。本研究では,低栄養シグナルによるGnRH/黄体形成ホルモン(LH)のパルス状分泌の抑制性神経経路の解明を目的とし,室傍核に発現するダイノルフィンA(Dyn)が,低栄養によるLHパルス抑制を仲介する可能性を検討した。正常な性周期を示した8週齢の成熟Wistar-Imamichi系雌ラットを用い,卵巣除去および低濃度17β-エストラジオール処置を施した。低栄養モデルとしてグルコース利用阻害剤である2デオキシグルコース(2DG)を第4脳室(4V)に投与した群と溶媒投与対照群を設けた。これらの脳切片を用い,蛍光二重標識法in situ hybridization により,室傍核においてDyn遺伝子とニューロン活性化マーカーであるc-Fos遺伝子を可視化することにより,これら2つ遺伝子の共存細胞数を比較した。その結果,Dyn遺伝子とc-Fos遺伝子の共存細胞数は対照群に比べ有意に増加した。このことから,4Vへの2DG投与により,室傍核のDynニューロンが活性化することが示唆された。また,4Vへの2DG投与前に,Dyn受容体拮抗剤を第3脳室に投与し,2DGによるLHパルスの抑制が解除されるか否かを検討した。その結果,Dyn受容体拮抗剤を投与した群において,2DGによるLH分泌抑制が解除された。このことから,2DGによるLHパルス抑制は,Dyn受容体シグナリングにより仲介されることが示唆された。以上の結果から,低栄養時には室傍核Dynニューロンが活性化し,視床下部Dyn受容体を介して,GnRH/LH分泌が抑制されることが示唆された。

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