日本繁殖生物学会 講演要旨集
第112回日本繁殖生物学会大会
セッションID: OR2-8
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性周期・妊娠
精漿の透析あるいは非働化処理が豚の子宮内膜上皮細胞におけるサイトカイン発現変化に及ぼす影響
*奥山 みなみ内倉 健造田島 茂行楢原 久司西園 晃
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抄録

【背景】豚の精漿は内分泌や子宮の免疫機構へ作用し子宮機能を調節することが知られている。子宮内膜上皮における初期反応には主に精漿中の蛋白質が作用するとされているが,その他の成分の働きについては不明な点が多い。そこで本研究では精漿感作による子宮内膜上皮細胞のサイトカインの発現が,蛋白質とその他の物質でどのように異なるのかを明らかにするため,培養系を用いて以下の実験を行った。【方法】種雄豚3品種,計6頭から採取した精液を800×g-15分,12,000×g-15分で2回遠心分離,混合し精漿を得た。経産豚の屠畜子宮から単離した子宮内膜上皮細胞の初代培養系において,精漿を10%で培養液に添加し3,12,24時間後におけるインターロイキン(IL)-1β,2,6,8,COX-2のmRNA発現を定量した。さらにPBSおよび培養液で透析した精漿,あるいは56℃,30分で非働化した精漿を10%で添加し,培養12時間後の上記因子のmRNA発現を定量した。【結果と考察】精漿添加後,mRNAの発現量は培養開始時に比べIL-1β,2,8は経時的に上昇し,IL-6およびCOX-2では低下した。いずれも遅くとも培養開始12時間後には,培養液のみの対照群に対し有意差を認めた。対照群と精漿群との間の3群比較において,透析精漿群のIL-8およびCOX-2発現は対照群との間に有意差が認められず,非働化精漿群のIL-1βおよび透析精漿群のIL-6発現は精漿群との間に有意差が認められなかった。以上から,透析により除去された低分子物質が子宮内膜上皮細胞におけるIL-8およびCOX-2発現に寄与すること,IL-6発現には低分子物質が関与しないことがわかった。IL-1β発現については精漿の非動化後も精漿と同様の上昇が認められたことから,補体等の蛋白質以外の物質が作用する可能性がある。本実験では,IL-1βとそれに誘導されるCOX-2の間で関連性が認められなかったが,今後はCOX-2に誘導されるプロスタグランジンの発現を含め検討を進めていく。

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© 2019 日本繁殖生物学会
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