主催: 日本繁殖生物学会
会議名: 第112回日本繁殖生物学会大会
回次: 112
開催地: 北海道大学
開催日: 2019/09/02 - 2019/09/05
【目的】ナイロンメッシュはガラス化保存液量の最小化を容易にできるデバイスであり,数個から数十個のウシ成熟未受精卵を一度にガラス化保存するのに適している。また,ポリフェノール性化合物のレスベラトロールは抗酸化作用を持つことが知られている。本実験ではウシ成熟未受精卵のガラス化保存後の蘇生率を改善するため,(1) ナイロンメッシュデバイスの至適孔径を検討するとともに,(2) 回復培養液に添加したレスベラトロールが加温卵子を救済できるか,調べた。【方法】(実験1; メッシュ径の検討)IVM22時間後に第一極体が確認できた裸化MII卵子を孔径37,57,77-µmのいずれかのナイロンメッシュをデバイスとして,15% EG,15% DMSO,0.5 M シュクロースを含む保存液を用いてガラス化した。加温・希釈後のMII卵子を回復培養(2時間)したのち,IVF(6時間),低酸素濃度下のIVC(8日間)に供した。(実験2; レスベラトロールの効果)デバイスにはCryotop®または37/57-µm径ナイロンメッシュを用いた。加温・希釈後のMII卵子を1 µM レスベラトロールを添加した回復培養液に2時間静置した後,IVF・IVCに供した。【結果】(実験1)メッシュ径の差はデバイスからの回収率,正常卵子率,IVF2日後の卵割率に影響を及ぼさなかった。しかし孔径が小さいときの方が胚盤胞発生率は高く,37 µm区で34%,57 µm区で28%,77 µm区で25%という値が得られた。(実験2)レスベラトロールの添加により胚盤胞発生率は高くなったが,Cryotop®をデバイスとしたときのその差は有意ではなく(添加区39% vs 無添加区32%),ナイロンメッシュをデバイスにしたときには有意差が検出された(添加区44% vs 無添加区30%)。なお,新鮮対照区の胚盤胞発生率は52%だった。以上,ウシ成熟未受精卵のガラス化蘇生は,ナイロンメッシュ径の変更やレスベラトロールへの曝露により改善された。