日本繁殖生物学会 講演要旨集
第112回日本繁殖生物学会大会
セッションID: P-53
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ポスター発表
Exocyst複合体のマウス卵母細胞における機能解析
*久場 ゆめのSHAWKI Hossam八神 健一水野 聖哉杉山 文博
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抄録

【目的】真核細胞には,それぞれ異なった役割を持つ様々な細胞内小器官が存在する。これらは細胞膜や他の細胞内小器官と膜および内容物の交換を行うことで,各機能を果たしている。この際に輸送される分子と輸送先である標的とは精密に制御されており,この輸送システムはメンブレントラフィックと総称され,正常な生命活動に必須である。このメンブレントラフィックのうち輸送小胞と細胞膜が融合する前段階において,Exocystは繋留因子として極めて重要な役割を果たすことが知られている。しかし,このExocyst複合体が卵母細胞においてどのような役割を果たすかはまだ分かっていない。そこで本研究では,Exocyst複合体の卵母細胞における機能を明らかにすることを目的とした。【方法】Exocyst複合体を構成するある遺伝子のfloxedマウスと卵母細胞特異的にCreを発現するGdf9-Creマウスとを交配させ,cKOマウスを作出した。各週齢の野生型雌マウスとcKO雌マウスを頚椎脱臼後開腹し,卵巣を取り出した。10 NM Mildform固定液を用いて一晩固定を行った後,パラフィンを用いて包埋しブロックを作製した。作製したブロックを5 μmで連続切片を作製し,HE染色および免疫蛍光染色を行った。【結果及び考察】HE染色で各マウス卵巣を観察したところ,cKOマウスにおいて8週齢以降で全卵母細胞数が著しく減少していた。さらに詳細に卵胞の段階に分けて観察を行ったところ,8週齢以降では二次卵胞以降の段階の卵母細胞がほとんど見られなかった。以上の結果から,Exocyst複合体は原始卵胞内の卵母細胞の維持に重要であることが示唆された。そこでExocyst複合体がどのように卵母細胞の生存に関わるか検討するため,卵母細胞の生存に関係する複数のタンパクの局在を蛍光免疫染色により確認した。その結果,ある膜タンパクの局在に異常が生じていることが分かった。以上のことより,Exocyst複合体は卵母細胞の生存において重要な役割を果たすことが示唆された。

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© 2019 日本繁殖生物学会
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