日本繁殖生物学会 講演要旨集
第113回日本繁殖生物学会大会
セッションID: AW2-2
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精巣・精子
ウシにおける凝集精子の特性と役割
*梅津 康平倉田 笙平平舘 裕希原 健士朗種村 健太郎
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抄録

【目的】多くの哺乳類において精子の頭部同士が凝集する現象が古くから知られている。血清アルブミンや卵黄成分などが精子の凝集因子として報告されており,雌性生殖器内の分泌液や体外受精用培地に精子をさらすだけでも精子は凝集する。このことは精子の凝集が哺乳類の受精に至るまでの過程において何らかの役割を担っていることを示唆しているが,未だにその生物学的意義は不明瞭である。従って,本研究では,古くから精子の凝集が報告されているウシに着目し,精子凝集の役割を理解するために,凝集しているウシ精子の特徴を捉えることを目的とした。【方法】黒毛和種の凍結精液を融解,洗浄,濃度調整後,以下の実験に供した。アルブミンを含まない精子培養用の基本培地(Non-capacitation培地)またはアルブミンやヘパリンを含む体外受精用培地(Capacitation培地)内でウシ精子を培養し,凝集率を経時的に算出した。また,SYBR14とPIを組み合わせた染色法により,精子の生死を判定し,凝集精子と非凝集精子の生存率を比較した。さらに,顕微鏡下で精子運動を観察し,凝集精子と非凝集精子の鞭毛運動率を経時的に算出し,比較した。【結果】ウシ精子の凝集率は培養1時間後に上昇し,5時間後まで維持され,その後24,48時間後に徐々に低下することが示された。また,ウシ精子の凝集の多くは2つの精子からなる凝集であった。さらに,Non-Capacitation培地とCapacitation培地におけるウシ精子の凝集率は同程度であった。凝集しているウシ精子の特徴として,凝集精子は非凝集精子と比較して,PI陰性精子率が高く,鞭毛運動率が高いことが明らかとなった。以上の結果より,ウシ精子は互いに凝集することで生存能ならびに運動能をより長期間維持していることが示唆された。従って,ウシにおいて精子の凝集は集団として受精の成功に有利に働く機構であることが推察された。

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