主催: 日本繁殖生物学会
会議名: 第113回日本繁殖生物学会大会
回次: 113
開催地: 東北大学
開催日: 2020/09/23 - 2020/09/25
【目的】乳用牛においては分娩前後の栄養状態と繁殖機能の回復との間に密接な関係があることが報告されているが,黒毛和種牛における知見は少ない。さらに,血液中のアミノ酸プロファイルと繁殖成績との関連は不明である。そこで本研究では,黒毛和種繁殖雌牛における分娩前後の血液中アミノ酸プロファイルと繁殖成績との関連について検討した。【方法】青森県内の民間農場で飼養されている黒毛和種繁殖雌牛39頭を用い,分娩前1ヶ月から分娩後2ヶ月までの4ヶ月間にわたり月1回の栄養度評価と,採血による生化学,27種のアミノ酸分析を実施し,繁殖成績(初回AI妊否,初回AI日数)との関連を検討した。【結果】分娩前後4カ月間における供試牛の平均栄養度は5.6±0.07であり,初回AI受胎(+)牛群と不受胎(-)牛群で有意な差は認められなかった。初回AI(-)牛群では血液中のThr,Ser,Asn,Pro,Val,Met,Ile,Leu,Tyr,Phe,His,Trp,Lys濃度が初回AI(+)牛群と比較して有意に低かった。生化学項目については,初回AI(-)牛群のNEFA濃度が初回AI(+)牛群と比較して高い傾向にあったが(P=0.05),他項目に差は認められなかった。供試牛の平均初回AI日数は68.1±1.9日であった。筋タンパク異化の程度を反映する指標である3-MH濃度は,初回AI日数>80日の牛群が,初回AI日数≦80日の牛群と比較して有意に高く(P<0.01),特に分娩前1ヶ月と分娩月で著しく高かった。これらのことから,黒毛和種繁殖雌牛において,分娩前後の血液中アミノ酸プロファイルと繁殖成績との関連が明らかとなり,初回AI(-)牛群においてはアミノ酸プロファイルに初回AI(+)牛群と比較して顕著な差異が認められた。今後は,繁殖成績に影響するアミノ酸プロファイルとその要因についての詳細な検討が必要である。本研究は農研機構生研支援センター「生産性革命に向けた革新的技術開発事業」の支援を受けて実施した。