主催: 日本繁殖生物学会
会議名: 第113回日本繁殖生物学会大会
回次: 113
開催地: 東北大学
開催日: 2020/09/23 - 2020/09/25
【目的】パルス状の性腺刺激ホルモン放出ホルモン(GnRH)分泌は,視床下部弓状核(ARC)に存在するGnRHパルス発生中枢により制御される。縫線核のセロトニン(5HT)ニューロンはARCに投射しており,5HTがGnRHパルス発生中枢を制御する可能性がある。先行研究により,5HTの脳室内投与がヤギのGnRHパルス発生中枢活動を促進すること,ヤギ視床下部内側基底部において5HT 受容体である5HT2C型受容体(5HT2C)mRNAが発現すること,5HT2C作動薬の脳室内投与がGnRHパルス発生中枢活動を促進する傾向にあることが明らかとなった。本研究では,ヤギ視床下部における5HT2C mRNA発現の組織学的検索,および5HT2B/2C型受容体拮抗薬(SB206553 [SB])前投与による5HT作用の阻害実験により,GnRHパルス発生中枢の制御に関わる5HT受容体を検討した。【方法】卵巣除去シバヤギ(N=3)の頭部を常法により灌流固定して脳切片(50 µm)を作製し,5HT2C特異的なRNAプローブを用いてin situ hybridizationを行った。また,ARC 近傍における神経活動の一過性上昇(MUAボレー)をGnRHパルス発生中枢活動の指標とし,卵巣除去シバヤギ(N=5)側脳室内にSB(1 µmol/ml)または蒸留水(1 ml)を前投与し,その2分後に5HT(0.5 µmol/400 µl)を投与した。5HT投与は各個体の平均MUAボレー間隔の1/2の時間に行い,MUAボレー間隔に及ぼす効果を評価した。【結果および考察】ヤギARCに5HT2C mRNA発現細胞の局在がみとめられた。また,SBおよび蒸留水前投与群において5HT投与はMUAボレー間隔を短縮し,GnRHパルス発生中枢活動が促進された。本研究により,ARCに局在する5HT2C発現細胞が5HTのGnRHパルス発生中枢活動の促進効果の一部を仲介する可能性,および5HT2C以外の5HT受容体も5HTの促進効果に関与することが考えられた。