抄録
畜舎排水を処理する軽量気泡コンクリート(ALC)を利用したフルスケールの多段型人工湿地における4年間のリン除去性能に基づき,高度処理手法としての人工湿地の可能性と植栽の存在効果について検討した.運転当初は植物の枯死期より成長期で高いリン除去率が得られたが,経年によりその傾向は逆転した.多段型人工湿地の各段の面積あたりのリン除去量は,当初は上段ほど高いが,経年とともに上段と下段の差が減少し,均等化する傾向となった.無植栽区と植栽区の各段のリン除去性能の推移の違いより,植栽の存在がALCのリン吸着性能を維持し,下段に位置する人工湿地へのリン負荷の移行を遅らせ,リン除去性能を延命することが明らかとなった.植栽区における4年間の平均TP除去率は87.6%となり,植物の刈り取りを行わなくても人工湿地によるリンの高度処理は可能であった.