日本繁殖生物学会 講演要旨集
第113回日本繁殖生物学会大会
セッションID: P-5
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ポスター発表
Kiss1発現を制御するエストロジェン受容体αコリプレッサーの探索
*宮崎 紗衣井上 直子束村 博子上野山 賀久
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抄録

GnRHパルス発生機構の本体と考えられる弓状核キスペプチンニューロンにおけるキスペプチン遺伝子(Kiss1)発現は,エストロジェンにより抑制される。一方,GnRHのサージ発生を司る前腹側室周囲核のキスペプチンニューロンにおけるKiss1発現は,エストロジェンにより促進される。エストロジェンによる神経核特異的なKiss1発現制御メカニズムを解明するため,キスペプチンニューロンに発現するエストロジェン受容体α(ERα)の転写共役因子(コファクター)の探索を試みた。本研究室が有する可視化キスペプチンニューロンのRNA-seqデータから,弓状核キスペプチンニューロンに発現するERαコリプレッサーの候補としてnuclear receptor corepressor 2遺伝子(Ncor2)を選抜した。卵巣除去し低濃度エストロジェンを代償投与したWistar-Imamichi系統成熟雌ラットを用い,蛍光二重標識法in situ hybridizationにより,弓状核および前腹側室周囲核のキスペプチンニューロンにおけるNcor2発現を検討した。その結果,弓状核キスペプチンニューロンの82.6±1.3 %にNcor2の発現を認めた。一方,前腹側室周囲核キスペプチンニューロンの42.3±0.9 %にNcor2の発現を認めた。卵巣除去および低濃度あるいは高濃度のエストロジェンを代償投与した卵巣除去ラットより採取した弓状核あるいは前腹側室周囲核を含む脳組織におけるNcor2発現を定量的RT-PCRにより検討した結果,いずれの神経核においてもNcor2発現が認められた。この発現量に及ぼすエストロジェンの顕著な影響は認められなかったが,前腹側室周囲核において,エストロゲン濃度の上昇に伴い発現量が減少する傾向がみられた。以上の結果から,ERαコリプレッサーであるNcor2が,エストロジェン-ERα複合体と共役してKiss1発現抑制を仲介している可能性が示唆された。

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