日本繁殖生物学会 講演要旨集
第113回日本繁殖生物学会大会
セッションID: P-40
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ポスター発表
ウシ卵子第二減数分裂中期紡錘体の形態に及ぼす肝疾病の影響
*芦部 詩織小林 由依BAOREJIGIN Sarentonglaga長尾 慶和
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抄録

【目的】肝臓はエネルギー代謝を担う重要な臓器であり,乳牛における肝疾病は,泌乳量増加に伴う受胎率低下と深く関与している。我々は,肝疾病を有する乳牛の小卵胞液中γ-グルタミルトランスペプチダーゼ(γ-GTP)濃度が高い個体において,胚盤胞発生率が低下することを明らかにした(Sarentonglaga et al., 2013)。しかしながら,卵子の成熟への影響については十分な検討がなされていない。本研究では,肝疾病が卵子の成熟に及ぼす影響について,特に紡錘体形態に着目して検討した。【材料と方法】屠畜検査時の獣医師の診断により肝臓が全廃棄された個体を肝疾病区,廃棄されなかった個体を健康区とした。それぞれ個体毎に小卵胞内卵子を採取し,良質卵子を形態的に選別後,ホルモン添加したmedium199で24時間体外成熟培養を行ない,第二減数分裂中期に達した卵子の核の紡錘体形態および染色体配置について,免疫蛍光染色法により解析した。紡錘体形態は形が乱れたものを,染色体配置は中期プレートから1~6個の染色体が転置したものを異常と評価した。また,紡錘体の長さ(LengthおよびWidth)と面積を算出した。さらに,体外受精後の受精率および胚盤胞発生率,胚盤胞細胞数を調べた。【結果と考察】肝疾病区の核成熟率は健康区と比べて低かった(P<0.05)。紡錘体形態の正常性については両区で差はみられなかったが,紡錘体面積および染色体配置方向の長さ(Width)は肝疾病区で増加した(P<0.05)。染色体配置の正常性は肝疾病区で健康区と比べて低かった(P<0.05)。体外受精後の総受精率,正常受精率および胚盤胞発生率については,肝疾病区で健康区と比べて低かった(P<0.05)。胚盤胞の細胞数については両区で差はみられなかった。以上より,肝疾病を有する乳牛において,健康な個体に比べて卵子の初期発生能が低く,その原因として体外成熟後の紡錘体形態および染色体配置の異常の関与が示唆された。

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