日本繁殖生物学会 講演要旨集
第113回日本繁殖生物学会大会
セッションID: P-44
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ポスター発表
マウス受精-初期胚発生過程でのTat-beclin1 D11添加が胚発生とオートファジー動態に及ぼす影響
*渡辺 連若山 照彦岸上 哲士
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抄録

【目的】細胞内分解リサイクル機構であるオートファジーは,着床前胚発生に不可欠であることが報告されている。しかしながら体外受精-培養過程での特異的なオートファジーの誘導が,その後の発生に与える影響については明確ではない。本研究ではオートファジー特異的誘導ペプチドTat-beclin1 D11(D11)の受精-培養培地への添加が,胚発生過程のオートファジー動態や発生能に与える影響を調べた。【方法】8週齢以上のICR系マウスから過排卵処理後の排卵卵子と精巣上体尾部精子を回収し,D11あるいはコントロール用のスクランブルペプチド(L11S)と共に以下の実験区で培養した; 1)胚培養培地への添加(1, 2,5 µM),2)各発育ステージ(Day 0-1, 1-2, 2-3, 3-4区)での添加,3)精子前培養(Capa区)あるいは受精培地(HTF区)への添加。胚培養培地にはオートファゴソーム検出試薬DAP Greenを添加し,胚発生率とオートファジー活性を経時的に評価した。【結果】胚培養培地へのD11の添加は,濃度依存的に発生率を有意に低下させ,2 µMでは3–4細胞期から,5 µM以上では培養直後から胚や割球の変性をもたらした。オートファジー活性は2細胞期で最も高く,1および2 µMの D11添加区で対照区に比べ有意に高くなった。一方,L11Sの添加は発生率やオートファジー活性に有意な影響を与えなかった。各発育ステージでのD11の添加は,Day 3-4区を除き,添加後の発生能を有意に低下させた。最後に,Capa区およびHTF区は対照区に比べて2細胞期のオートファジー活性が有意に高くなったが,胚盤胞への発生率はCapa区では有意に高く,HTF区では低くなった。以上から,Tat-beclin1 D11の卵や胚への添加は発生能を低下させる一方で,受精前の精子への前処理は受精後の胚のオートファジー活性を高め,発生率向上につながることが示唆された。これらから精子を媒介としたオートファジーの制御により発生能を高められる可能性が考えられた。

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