主催: 日本繁殖生物学会
会議名: 第113回日本繁殖生物学会大会
回次: 113
開催地: 東北大学
開催日: 2020/09/23 - 2020/09/25
【目的】反芻動物では着床前の受胎産物がインターフェロン・タウ(IFNT)を分泌し,子宮内膜でIFN誘導性遺伝子群(ISGs)を誘導する。我々は,これまでにISG15などの代表的ISGsが子宮頸管粘膜組織においても妊娠18日に子宮内膜での発現に匹敵する発現増加を示すことを明らかにした。子宮頸管粘膜(CMF)のサンプリングは簡便かつ生体に対して低侵襲的であるため,この知見を基に人工授精後最初に発情が回帰する21日までの早期妊娠判定への応用が進められている。一方,ISGsを指標とした場合の判定精度を上げる際には,ウイルス感染によるIFN経路の活性化による非妊娠ISGsの増加可能性の考慮も必要であり,そのため,IFN経路に依存しない妊娠応答遺伝子の探索が必要である。我々がこれまで実施したCMFのRNAシーケンス解析では,妊娠時18日の発現上昇遺伝子の多くがISGsであった一方,妊娠時の発現低下遺伝子群にはIFNTのような共通の制御因子を持つと考えられるものが存在しなかった。そのため,本研究では子宮頸管粘膜組織における妊娠時発現低下遺伝子の検出を目的とした。【方法】人工授精(AI)実施から14,18,24日が経過したホルスタイン種乳用牛の生体からCMFを綿棒で軽くこすり取ることで採取し,AI後30日及び40日の超音波診断による妊娠診断結果より各サンプルを「非妊娠区」「妊娠区」に分別した。採取したCMFからRNA抽出およびcDNA合成を行った。これまでのRNAシーケンス解析により,妊娠18日における発現低下を示した遺伝子を複数選択し,それらについて作成したプライマーを用いてAI後14,18,24日それぞれのサンプルでリアルタイムPCRを行い各遺伝子の発現量を測定した。【結果と考察】リアルタイムPCRの結果,AI後18日の妊娠時発現低下遺伝子としてIGFBP3,FOS,EGR1を検出し,これらの遺伝子が妊娠判定の指標遺伝子として有用である可能性を示した。