日本繁殖生物学会 講演要旨集
第113回日本繁殖生物学会大会
セッションID: P-67
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ポスター発表
ウシの子宮内膜における精子走化性因子発現の検討
*宗友 真帆酒井 駿介山本 ゆき木村 康二
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抄録

【目的】ウシにおいて腟内に射精された精子は子宮内を通り,卵管へ運ばれる。子宮内における卵管付近までの精子輸送には平滑筋の関与が報告されているが,その詳細は完全には明らかになっていない。一方,ヒト卵胞液由来のRANTESや,ウシの卵管や顆粒膜細胞由来のSDF1などのケモカインが,受精時に精子を誘引する走化性因子として機能することが近年報告されている。このことから,子宮内における精子輸送にもこれらのケモカインが走化性因子として関与しているのではないかと考え,本研究では,発情周期中のウシ子宮内膜組織におけるケモカイン発現の変化について検討した。【方法】食肉センター由来の子宮を,卵巣の肉眼的所見によってウシの発情周期を4つに分類した(排卵日= 0日,Stage I: 1~4日,Stage II: 5~10日,Stage III: 11~17日,Stage IV: 18~20日)。各Stageの主席卵胞もしくは黄体と同側のウシ子宮角上端における子宮内膜を採取し,SDF1およびRANTES mRNA発現量の変化を定量的RT-PCR法を用いて検討した。【結果】子宮内膜組織におけるSDF1 mRNA発現は発情周期すべてのステージで見られ,Stage IVの子宮内膜組織におけるSDF1 mRNA発現はStage IIとStage IIIに比べ有意に高かった。Stage Iの子宮内膜組織においてSDF1 mRNA発現はStage IIとStage IIIと比べ高い数値を示したが,有意な差は見られなかった。SDF1と同じく,子宮内膜組織におけるRANTESのmRNA発現は発情周期すべてのステージで検出されたが,Stage間での有意な差は認められなかった。以上より,これらの走化性因子が子宮角上端付近に発現し,精子の誘引に関係している可能性が示された。さらに,SDF1は発情前後に発現が増加していたことからエストラジオール17βなどの性ステロイドホルモンの影響を受けて発現が制御される可能性が示された。

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