主催: 日本繁殖生物学会
会議名: 第113回日本繁殖生物学会大会
回次: 113
開催地: 東北大学
開催日: 2020/09/23 - 2020/09/25
【目的】夏季の暑熱ストレスは,家畜の繁殖性に悪影響を及ぼす。暑熱ストレスにより,ウシの卵巣機能,卵子や胚発生などに異常をきたし,人工授精後の受胎率は低下することが報告されている。また近年,北海道という比較的冷涼な地域においても夏季の受胎率低下が報告されており,温暖化の影響は深刻化していることが懸念される。一方,母体子宮組織は胚受容に必須であるが,暑熱ストレスが母体子宮組織に及ぼす影響は知見が少ない。本研究では,ウシ子宮内膜組織を夏季および冬季にわけて遺伝子発現の差異を検証した。【方法】と場由来のウシ子宮から子宮内膜組織を採取した。採取した組織からRNA抽出,cDNA合成を行い,リアルタイムPCRにより,熱ショックタンパク質,抗酸化酵素,インターフェロン誘導性遺伝子および炎症性サイトカインの発現量解析を行った。【結果】熱ショックタンパク質HSP27, 60, 90および抗酸化酵素であるカタラーゼおよびCuZnSODは,夏季に採取した子宮内膜組織において,冬季に採取したものと比べ発現が有意に低かった。炎症性サイトカインであるIL1Bの発現量は夏季に採取した子宮内膜組織において,冬季に採取したものと比べ有意に高く,TNFA発現は増加傾向であった。インターフェロン誘導性遺伝子の発現量に変化はみとめられなかった。これらの結果から,長時間の暑熱負荷により,ウシ子宮内膜上皮細胞における熱ショックタンパク質および抗酸化酵素の発現は低下し,炎症性サイトカインの発現は増加することが示唆された。