日本繁殖生物学会 講演要旨集
第113回日本繁殖生物学会大会
セッションID: P-78
会議情報

ポスター発表
ケトン体はウシ末梢血単核球におけるNLRP3インフラマソーム活性化を制御する
*加藤 大雅鬼沢 優里三浦 亮太朗吉村 格近田 邦利岩田 尚孝桑山 岳人濱野 晴三白砂 孔明
著者情報
会議録・要旨集 フリー

詳細
抄録

【目的】乳牛の受胎率は低下しており,要因として長期不受胎牛(RBC)の存在がある。RBCはIL-1β等炎症性サイトカイン産生が高いことが報告されているが,原因は不明である。IL-1βは自然炎症を制御するNLRP3インフラマソーム(NLRP3,ASC,カスパーゼ1)というタンパク質複合体によって活性化が調節されている。本研究では,RBCの特徴を捉えるため血漿メタボローム解析を実施し,特定した因子が及ぼす影響について検討した。【方法と結果】ホルスタイン種経産牛の分娩後1~3回のAIで妊娠した個体を健常区(n=4),4回以上のAIで非妊娠個体をRBC区(n=5)とし,尾静脈から血漿を採取した。メタボローム解析で184種の代謝物が検出された。ケトン体のアセト酢酸(AcAc)がRBC区でのみ,同じケトン体のβヒドロキシ酪酸(BHB)は両区で同程度検出された。AcAcのNLRP3インフラマソームへの影響を検討するため,ウシ末梢血単核球(PBMC)に添加した。AcAc添加によってNLRP3インフラマソーム因子のmRNA発現およびIL-1β分泌が増加した。免疫蛍光染色では,AcAc添加によってNLRP3とASCの共局在が観察された。次にBHBの影響を検討するため,PBMCに子宮内膜炎を模倣したLPSを添加すると,LPS誘導性IL-1β分泌に影響しなかった。LPS前処理後にナノ粒子等を添加するとNLRP3インフラマソームが活性化され急激なIL-1β分泌が起きたが,BHB添加によってこの分泌は有意に抑制された。また,BHB添加によってAcAcで誘導されたNLRP3−ASC共局在,カスパーゼ1活性化およびIL-1β分泌が有意に抑制された。【考察】血漿AcAcはRBCの新規バイオマーカーになる可能性が示唆された。また,ウシPBMCにおいてAcAcはNLRP3インフラマソームを活性化し,BHBは抑制することが明らかになった。以上から,RBCではケトン体バランスが崩れ自然炎症が起こりやすい状況である可能性が考えられた。

著者関連情報
© 2020 日本繁殖生物学会
前の記事 次の記事
feedback
Top