主催: 日本繁殖生物学会
会議名: 第113回日本繁殖生物学会大会
回次: 113
開催地: 東北大学
開催日: 2020/09/23 - 2020/09/25
【目的】第112回大会において我々は,黄体の寿命は腟内留置型黄体ホルモン製剤(CIDR)の影響を受けず,発情周期に依存する可能性を示した。このことを確認するため,黄体期初期にCIDR留置を開始し,黄体周囲の血流量(LBF),血中プロジェステロン(P4)濃度および黄体直径の推移ならびにCIDR抜去後の発情発現日について,黄体期中期にCIDR留置を開始した区と比較検討した。【方法】発情周期Day5(Day5区:n=8)またはDay10(Day10区:n=6)の正常な発情周期を営む黒毛和種経産牛にCIDRを挿入し,12日間留置した。CIDR挿入日を基準日とし,挿入2日前から抜去翌日までの黄体周囲血流量面積(LBFA),血中P4濃度および黄体直径の推移,機能的黄体退行の開始日ならびにCIDR抜去後の発情発現日を調べた。【結果】Day5区においてLBFAは8日目(Day13)まで増加した後減少したが,再び増加し,10日目(Day15)以降緩徐に減少した。Day5区において機能的黄体退行を反映するLBFAの顕著な減少の開始日は,12.8日(Day17.8)であり,Day10区(9.9日:Day19.9)と比較し有意に遅かったが(P<0.05),発情周期では差はなかった。Day5区の血中P4濃度は,CIDR挿入翌日に増加したが,その後はLBFAと類似の推移を示した。黄体直径は,4日目(Day9)にピークを迎えた後,12日目(Day17)まで維持され,その後縮小した。Day5区の発情までの平均日数は5.2日であり,Day10区(2.3日)と比較し有意に遅かった(P<0.05)。CIDR抜去から4日以後に発情が発現した牛はいずれもCIDR抜去時のLBFA,黄体直径ともに高く,うち1頭はCIDR抜去8日後に乗駕許容を伴わない鈍性発情を示した。以上より,黒毛和種において黄体の退行時期は発情周期に依存しており,黄体期初期にCIDRを挿入することで,一部の牛では発情の遅れや鈍性発情が発生することが示唆された。