抄録
【はじめに】腰部脊柱管狭窄症(以下LSCS)は高齢者に多くみられる疾患であり、加齢による椎間板や椎間関節の変性、黄色靭帯の肥厚などを原因とする。LSCSに伴う間欠性跛行(以下IC)は、脊柱管内部の馬尾や神経根を圧迫する結果生じるものと推測され、膀胱直腸障害や重度の下肢麻痺がない限りそのほとんどが保存療法の対象となっている。理学療法ではストレッチや筋力増強訓練、物理療法が一般的に行われており、足底板を用いた報告は少ない。
我々は第19回愛知県理学療法学術大会において、腰椎変性すべり症患者に対する足底板療法を行ったところ、足底板挿入後に姿勢の改善や疼痛の軽減という結果を得た。今回は間欠性跛行に対して足底板を用いて、歩行距離や歩行時間に変化が生じるか検討した。
【対象と方法】ICを来す疾患にはLSCSの他に慢性動脈閉塞症(以下PAOD)がある。それらの鑑別方法として立位負荷試験、姿勢因子(前屈にて症状が軽快)およびエルゴメーター用い、下肢症状が誘発されるか否かをみて判別した。LSCSによるICがある患者を対象に、足底板挿入前後のJOAスコア、歩行時間、歩行距離を比較した。
【足底板製作方法】足底板製作には、動的評価を基に三進興産社製ソルボセインパット・ソルボセインシートを用い、足底正常化と前方推進力の強化をコンセプトに作製した。
【結果】今回ICを主症状とする8症例に対して足底板療法を行った結果、足底板挿入後にJOAスコアの改善、歩行時間および歩行距離の延長を認めた。
【結語】LSCSに伴うICに対しての保存療法として足底板療法を行った。その結果、歩行時間や歩行距離などの延長を認め、足底板療法が有効な一手段となると考えられる。