日本繁殖生物学会 講演要旨集
第113回日本繁殖生物学会大会
セッションID: P-81
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ポスター発表
Y染色体の存在がマウス雌性生殖系列に及ぼす影響
*佐藤 義治坂下 陽彦神田 暁史河野 友宏外丸 祐介尾畑 やよい
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抄録

【目的】哺乳類の多くはY染色体の有無で性を決定する。Y染色体には雄性決定遺伝子Sryが座位し,Sry欠損はY染色体の存在下でも雌へ性転換を引き起こす。この性転換マウスは不妊であると報告されており,これにはY染色体が起因すると考えられているが,詳細は分かっていない。本実験ではY染色体上のUba1yDdx3yUtyおよびSryを欠損したXY雌マウスの作出を試み,Sry単独欠損マウスと比較することでXY雌マウスの妊孕性におけるY染色体の影響を考察した。【方法】C57BL/6マウスにゲノム編集(GE)を用い,Uba1yDdx3yおよびUtyの3重欠損を試みた。得られたGE雄マウスから採精し,C57BL/6雌マウスの卵を用いてIVFを行った。これらの受精卵にGEでSryの欠損を試み,2細胞期胚を偽妊娠雌マウスに移植し,多重欠損XY雌マウスの作出を試みた。表現型が雌の産仔のうち,Sryを検出できた個体をXY雌と判別した。得られた個体は5–12週齢で野生型C57BL/6雄と同居させ交配試験を行った。また3–13週齢の卵巣で組織学的解析を行った。【結果・考察】3重欠損マウス作成の成否を確認した結果,それぞれの転写開始領域で変異を確認した。しかしUtyの発現が確認され,Uba1yDdx3yのみ発現抑制に成功した。交配試験の結果,Sry単独欠損XY雌マウスでは膣栓が確認されたが不妊であったのに対し,多重欠損XY雌マウスでは膣栓が確認された個体のうち18%が妊娠に至った(野生型:83%)。Uba1yDdx3yの発現を抑制することでXY雌マウスの妊孕性が回復することが分かった。卵巣重量の比較ではSry単独欠損および多重欠損XY雌マウスでは6週齢を境に小さくなった。組織学的解析の結果,13週齢のSry単独欠損および多重欠損XY雌マウスでは成長期卵胞が確認されなかった。多重欠損XY雌マウスでは低いながらも妊孕性が認められることから,卵母細胞プールが少なく,卵巣退行が早期に起きていると考えられた。

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