日本繁殖生物学会 講演要旨集
第113回日本繁殖生物学会大会
セッションID: P-84
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ポスター発表
マウス一次精母細胞からの産子作出法の改善
*越後貫 成美日野 敏昭京極 博久大澤 優生水野 聖哉立野 裕幸北島 智也杉山 文博小倉 淳郎
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抄録

【はじめに】顕微授精技術を利用した一次精母細胞からのマウス産子作出は,1998年に報告されている(Ogura et al.)。しかしながらその効率は4%と非常に低く,実用レベルとは言えない。その最大の原因として,減数分裂時に生じる染色体の分配異常が指摘されているが現在まで改善報告はない。近年,京極らはGV卵子の細胞質サイズを小さくすることにより,減数分裂時の染色体分配の異常を減らせることを報告した(Kyogoku and Kitajima, 2017)。一次精母細胞の顕微授精においても,卵子の内部で一次精母細胞核の減数分裂が進行する。そこで,注入に用いる卵子の細胞質サイズを小さくすることにより,染色体分配の改善と産子率の向上を試みた。【方法】マイクロマニピュレーター操作にて,細胞質サイズを1/3~1/2程度に減少させたマウスGV期卵子に,一次精母細胞の顕微注入を行った。体外成熟後のMII染色体(雌雄染色体を含む)を別の新鮮除核MII卵へ移植し,活性化処理を行った。2細胞期に発生した再構築胚をレシピエントに移植した。【結果および考察】無操作のコントロール卵を用いた場合の産子率は1%(1/96移植胚数)だったのに対し,細胞質サイズを減少させたグループでは22%(14/64)と改善が確認された。また,染色体分離の正常性について,胚の染色体標本およびライブセルイメージングを行ったところ,分配異常は雄性染色体で多く生じていたが,細胞質減少胚ではコントロール胚に比較して分配異常の減少が確認された。本法の応用として,一次精母細胞で精子発生が停止するKOマウス系統のレスキューを試みた。6匹の産子が得られ(産子率13%; 6/46),うち3匹がKO個体で繁殖能も確認された。一次精母細胞は多くの無精子症男性にもその存在が認められているので,本法が将来の不妊治療の一つとなる可能性が示唆された。

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