日本繁殖生物学会 講演要旨集
第113回日本繁殖生物学会大会
セッションID: P-91
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ポスター発表
パーキンソン病様症状を呈する遺伝子改変マウスの雌性不妊解析
*中野 愛里上村 麻実金井 克晃高島 誠司
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抄録

【背景・目的】遺伝子改変マウスB6.B6D2-Tg(Th-EGFP)21-31Koba(通称TH-GFPマウス)は,震戦・無動といったパーキンソン病様症状と共に雄性不妊を示し,その原因はトランスジーン(Tg)の挿入突然変異によるUgt8a遺伝子の破壊であることを見出した。そこで本研究では,これまでUgt8aKOマウスで報告のない新しいフェノタイプ「雌性不妊」と「胆嚢肥大」の実態を解析した。【方法】妊孕性は交尾経験のあるWTのオスとの同居により確認した。性周期は膣垢のギムザ染色によって特定した。視床下部・下垂体におけるホルモン産生評価は,定量的RT-PCRによる遺伝子発現解析を行なった。卵子形成は卵巣病理切片で評価した。卵巣機能はPMSG,hCG腹腔内投与による過排卵処理で排卵された卵子数を測定した。胆嚢の大きさは定規で測定し,肝臓重量あたりの割合で比較した。【結果・考察】このマウスはほとんどでオスとの交尾が成立せず,プラグがついても産仔は得られなかったため,不妊であることが確認された。そこで視床下部・下垂体・性腺軸機能を解析したところ,性周期は休止期で停止しており,これに同調して下垂体における遺伝子発現の変容がみられた。一方卵巣病理切片解析では,二次卵胞や黄体が形成されており,目立った異常は見られなかった。そして過剰排卵処理ではWTと同等に卵子が得られたことから,卵巣機能も正常であることがわかった。胆嚢は3週齢では有意に肥大していたが,8週齢では差が見られなかったことから,胆嚢における顕著なフェノタイプは加齢とともに減少することが示唆された。以上より,THGFPホモマウスの雌性不妊の原因は視床下部・下垂体のホルモン産生異常や子宮内環境の異常などにあると考えられる。胆嚢肥大の原因や肝臓機能については今後解析していく予定である。

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