日本繁殖生物学会 講演要旨集
第98回日本繁殖生物学会大会
セッションID: 120
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生殖細胞
体外成熟培養液NCSU-37へのウシ胎仔血清添加がブタ卵子成熟・受精に及ぼす影響
*菊地 和弘小沢 学鈴木 美佐枝三角 浩司大沼 克彦野口 純子金子 浩之永井 卓
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抄録
【目的】ブタ体外成熟用培養液(修正NCSU培養液)には、通常10%程度のブタ卵胞液(pFF)が含まれる。ところが、pFFの採取・調整には手間がかかりロット差が生じたり、pFF自体に感染源が含まれる危惧がある。そこで、細胞培養用として市販されているウシ胎仔血清(FBS)を添加して体外胚生産を行ったところ、胚盤胞が作出可能で移植により仔豚が生まれることを報告した(第101回日本畜産学会)。本報告では、FBS添加NCSU-37液が成熟と受精に及ぼす影響について検討した。【方法】FBS4製品(以下、ロット)について10%添加NCSU-37液を調整し、卵丘細胞-卵子複合体の成熟培養を行い、卵丘細胞の膨潤と核成熟の進展を調べた。1ロットについては、成熟培養後に卵丘細胞の存否の下で体外受精を行い精子侵入状態について検討した。なお、対照区としてpFFを用いた。【結果】卵丘細胞が膨潤した複合体の割合は、pFF(74%)に比べてFBSでは4ロットすべてで有意に低下した(P<0.05, 15-41%)。卵核胞崩壊はpFFとFBSの各ロットで差がなかった(76-96%)ものの、成熟率はpFF区(73%)に比べてFBSでは4ロットすべてで有意に低下した(P<0.05, 26-41%)。体外受精の結果、成熟卵子への単精子侵入率はpFF(23%)に比べてFBSで有意に低下した(P<0.05, 5%)。また、FBS添加では、卵丘細胞を除去して受精してもその率に差が認められなかった(6%)。FBSの添加は卵丘細胞の膨潤と核成熟を低下させるが、卵丘細胞の状態が精子侵入に影響を及ぼさないこと、さらに正常な受精卵が得られることが確認された。
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© 2005 日本繁殖生物学会
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