赤ビート(Beta vulgaris L.)の新規利用性を明らかにするため,赤ビートを用いたキムチを作製し,そのキムチの抗酸化活性および風味特性について大根を用いたキムチと比較した.キムチは,赤ビートおよび大根とキムチ調味料を混ぜ合わせて作製した.両キムチは,30 ℃のインキュベーター内で3,7および14日間発酵を行い,発酵させなかったものを0日目として,DPPH,ABTSおよびFRAP法による抗酸化活性および総ポリフェノール量の測定を行った.さらに,両キムチを用いて官能評価を実施した.両キムチの抗酸化活性を測定した結果,DPPHでは全発酵期間を通じて,ABTSおよびFRAPでは0日目と3日目において,赤ビートキムチは大根キムチに比べ有意に高い値を示した(p < 0.05).また,両キムチの総ポリフェノール量を測定した結果,全発酵期間において赤ビートキムチが高い値を維持した.さらに,両キムチの官能評価の結果,赤ビートキムチは,甘味が大根キムチよりも好まれることが明らかとなり,赤ビート特有の土壌臭が苦手な人でも食べやすく,好まれやすいキムチである可能性が示唆された.以上の結果,赤ビートを用いたキムチは,大根を用いたキムチよりも高い抗酸化活性を有し,さらに赤ビートで作製したキムチは,生の赤ビートよりも独特の風味を低減することから,嗜好性が高まる可能性が示唆された.