日本繁殖生物学会 講演要旨集
第98回日本繁殖生物学会大会
セッションID: 122
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生殖細胞
アミノ酸がスナネズミ初期胚に及ぼす影響
*小幡 隆一郎濱野 光市辻井 弘忠
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抄録
【目的】スナネズミは,癲癇や脳障害などの疾患モデル動物として有用な実験動物である。しかし,スナネズミ初期胚の培養に関しては,卵管細胞と共培養することによって,1-cellから胚盤胞までの培養が成功しているが,既知培養液のみでの培養は成功していない。そこで本研究では,多くの動物種で胚の発生を促進するアミノ酸に着目し,スナネズミ初期胚の体外培養用既知培養液を作出することを目的として,卵管細胞との共培養下における各発生段階でのアミノ酸消費量の測定,および培養液へのアミノ酸添加が胚発生に及ぼす影響を調べた。【方法】1)修正TCM199(10%ウシ胎児血清+ピルビン酸+乳酸添加)を用いてスナネズミ卵管細胞を培養し,卵管細胞がモノレイヤーを形成した後,スナネズミ2-cell胚と共培養した。共培養後,培養液を回収し,液体クロマトグラフィーを用いてアミノ酸濃度を測定した。2)修正M16培養液(EDTA 100μM添加,リン酸無添加,NaCl 99.0mM,グルコース2.0mM)に0.2mg/mlグルタミン,グルタミン酸,グリシンのいずれか1つを添加し,スナネズミ2-cell胚を培養し発生率を調べた。【結果】共培養の結果,グルタミン酸,アスパラギン酸,セリンにおいて,8-cell期に比べ16-cell期で有意な消費量の増加がみられた。また,修正M16にグルタミンを添加すると4-cellおよび8-cellへの発生率が有意に高まったが,グルタミン酸およびグリシン添加区では発生率が有意に低くなった。これらのことから,グルタミン酸は8-cell以降に消費され,スナネズミ8-cell期に起こるcell blockに関与している可能性が示唆された。
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© 2005 日本繁殖生物学会
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