日本繁殖生物学会 講演要旨集
第98回日本繁殖生物学会大会
セッションID: 138
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精子・精巣生理
ヤギ精巣におけるリラキシン関連タンパク(RLF)のリガンド-レセプターの存在
*斯 琴中井 真理加藤 真一青島 拓也丸山 浩司濱野 光市康 珉秀高坂 哲也番場 公雄
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抄録
【目的】リラキシンは,子宮の組織改変作用のほか,多岐にわたる組織で作用が注目されている多機能性ホルモンである。しかし,反芻家畜ではリラキシンの存在は不明瞭で,その代替としてリラキシン関連タンパク(RLF)が機能的なリラキシンとして発現していることが示唆されている。最近,LGR7とLGR8と呼ばれる2種類のリラキシン受容体がヒトで発見され,とくにRLFはLGR8のみを受容体とすることが判明している。本研究では,反芻家畜のパイロットアニマルとしてヤギを用い,精巣におけるRLFとその受容体LGR8の発現と局在を転写および翻訳レベルで調べ,RLFのリガンド-レセプターの存在について検討した。【方法】ヤギ精巣は成熟(繁殖季節)および未成熟ザーネン種より採取し,直ちに液体窒素で凍結した。まず,精巣におけるRLFとLGR8の発現を調べるため,全RNA抽出後,RT-PCRを行うと共に,塩基配列を決定した。加えて,成熟および未成熟間における転写レベルでの発現解析を半定量RT-PCRで調べた。次に,RLFとLGR8の遺伝子発現細胞を同定するため,DIG標識cRNAプローブを作製し凍結切片を用いてin situハイブリダイゼーションを行った。さらに,RLFおよびLGR8のペプチド抗体を用いた免疫染色を施した。【結果】ヤギ精巣のRT-PCRより,RLFとその受容体LGR8のDNA断片の増幅が認められた。即ち,RLFについては本研究室で明らかにした妊娠ヤギ卵巣RLF全塩基長と一致する部分配列が,一方LGR8についてはヒトLGR8と相同性のある部分配列が増幅されていた。加えて,成熟と未成熟精巣間でこれら遺伝子の発現を半定量RT-PCR解析した結果,RLFとLGR8の遺伝子発現は成熟精巣で増大していることが分かった。次に,in situハイブリダイゼーションの結果から,RLFとその受容体LGR8の遺伝子発現はいずれもライディッヒ細胞で見出すことができた。さらに,免疫染色の結果も同様の所見を得た。以上,ヤギ精巣においてリラキシン関連タンパクRLFのリガンド-レセプターの存在が示唆された。
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© 2005 日本繁殖生物学会
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