日本繁殖生物学会 講演要旨集
第98回日本繁殖生物学会大会
セッションID: 147
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着床・妊娠
ウシ血清由来超早期妊娠因子の精製とその解析
*三上 佳利松原 和衛山下 哲郎江幡 順良高橋 正弘高橋 寿太郎
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抄録
【目的】早期妊娠因子(EPF)は、母体の胎児に対する免疫攻撃を抑制し、妊娠の成立に重要な働きをする物質と考えられている。主として母体の血中より検出され、当研究室では血清由来のものを特に超早期妊娠因子(Super-EPF)、それ以外の材料より検出される物質をEPF様物質と呼んで区別している。本研究では、効率の良い精製法の確立を目的とし、その工程により得られた精製物を用いて2D SDS-PAGEによるウシ超早期妊娠因子の解析を行なった。【方法】ウシ血清を35%飽和および40%飽和の硫酸アンモニウムにより塩析し、上清、沈澱の各分画をロゼット抑制試験(RITest)に適用し活性を調べた。その後、活性のあった分画を CM sepharoce Fast Flowによる陽イオン交換クロマトグラフィーに適用した。さらに、RITestにより活性のあった分画をSDS-PAGE、2D SDS-PAGEおよびイムノブロッティングに適用し、ウシ超早期妊娠因子の解析を試みた。【結果】最終的な活性分画の総タンパク量は33.5ODで、回収率は6.26%であった。この結果は以前の精製法よりも若干少ないものだった。しかし、その後の解析によって、これまでの精製法では検出できなかったSuper-EPFと思われる新たなタンパクスポットが確認された。したがって、この新しい精製法はEPF の精製にとって有効な方法と考えられる。精製物のSDS-PAGEによる解析では、20および50KDa付近に抗ウシSuper-EPFポリクローナル抗体と特異的に反応するバンドが確認され、さらに、2D SDS-PAGEの後にイムノブロッティングで解析した結果、20および25KDa付近に抗ウシSuper-EPFポリクローナル抗体と特異的に反応する3つのスポットが観察された。これら3つのスポットはSuper-EPFの重要な候補と思われ、この3つのスポットについてTOF-MSを用いて現在解析中である。
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© 2005 日本繁殖生物学会
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