日本繁殖生物学会 講演要旨集
第98回日本繁殖生物学会大会
セッションID: 92
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生殖工学
ハムスターの体外受精による産仔作出:体外受精培地へのアミノ酸添加の影響
*堀内 俊孝宗藤 朋美拝郷 浩祐竹中 真奈美
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抄録
【目的】我々は,ハムスターにおいて卵細胞質内精子注入(ICSI)と円形精子細胞注入(ROSI)による産仔作出に成功した(Bio Reprod 67, 534-539, 2002;71, 194-198, 2004)。ハムスターの体外受精(IVF)は,Barnett & Bavisterによる産仔作出の報告があるが,追試の報告はない。ハムスターIVFでは,精子との共培養環境を卵子に至適化する必要がある。本研究ではIVF培地への9アミノ酸(発生培地HECM-9含有アミノ酸)添加が発生に及ぼす影響を検討し,IVF産仔を得ることができたので報告する。【方法】ハムスターIVFはYanagimachiの方法に従い,m-TALPの5時間共培養とした。IVF卵子をM199TEで16時間培養,さらに2細胞期胚をHECM-9で56時間培養した。[実験1]IVF培地m-TALPへの9アミノ酸(Asn, Cys, His, Lys, Pro, Ser, Asp, Gly, Glu)添加が受精率に及ぼす影響,[実験2]IVF培地への9アミノ酸添加が2細胞期と桑実期&胚盤胞期(M&BL)への発生率に及ぼす影響,[実験3]ゴールデン(毛色:茶色)のIVF胚(M&BL)を自然交尾したアルビノ(毛色:白色)の妊娠3日目子宮に胚移植した。【結果】[実験1]アミノ酸添加区と無添加区の正常受精率は各51% (18/35)と64%(21/35)で有意な差はなかった。[実験2]アミノ酸添加区と無添加区の2細胞期率は各45%(152/339)と31%(59/193),2細胞期胚当たりのM&BL率は39%(60/152)と13%(8/59)で,アミノ酸添加区で有意に高かった。[実験3]総計50個のIVF胚を5匹のレシピエントに移植し,9匹(18 %)のIVF由来産仔が生まれた。
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© 2005 日本繁殖生物学会
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