マイワシやカタクチイワシなどの多獲性浮魚資源は,交互に増減を繰り返し,この現象は「魚種交替」と呼ばれている。徳島県和田島地区での船びき網は,カタクチイワシのシラスを中心に漁獲する。この地区の経営体は漁獲したシラスはチリメンへ自家加工している。カタクチイワシ夏秋群の資源の高水準期に加工施設への積極的な設備投資を行ったが,低水準期の現在は過剰投資となり,その経営は悪化している。この地区では漁業管理組織による共同管理として休漁日,網目制限が行われている。漁業管理組織内の構成員の経営形態がそろうことは,漁業管理組織による共同管理を容易にする。反面,資源変動の大きな魚種を漁獲する漁業で共同管理を行う場合,経営形態の多様性を失わせ,他の資源の利用が困難となる恐れがある。