2007 年 47 巻 1 号 p. 23-41
本論文の目的は,養殖ヒラメを事例として,韓国の活魚輸出の動向と現状を明らかにし,今後の韓国・日本の養殖活魚貿易の変化を予測していくことである。
韓国の水産物輸出量は全体的に減少し,韓国の最大の水産物輸出相手国である日本向け輸出も減ってきている。しかし,高級水産物である新鮮冷蔵品の対日輸出量は減っておらず,活魚の場合はむしろ増えている点が注目される。特に活ヒラメは過去10年の間に,年率20%以上もの速いスピードで増加している。
韓国の養殖ヒラメの対日輸出の中心は済州道である。2005年の実績をみると,韓国のヒラメ輸出総量は5,549トン,うち済州道からの輸出が5,307トンで全体の95.6%を占める。
本稿では韓国の代表的な養殖魚種であるヒラメが,過去10年の間,対日輸出が高い伸びを見せたその背景を分析している。韓国の養殖ヒラメの輸出量が急増した背景には,養殖に有利な天然環境,日本と隣接しているという地理的条件などがある。
今後,韓国のヒラメ生産は現在よりやや高い水準で横ばいに推移していくのではないかと思われる。一方,日本の養殖ヒラメ生産量は,現在の水準,ないしは多少低めの水準で推移するとみられる。韓国産ヒラメの対日輸出は,一定期間を経過した後,多少伸びていく可能性がある。養殖ヒラメの対日輸出量を変化させる主な外部要因は,韓国ウォンの為替レートの変動と中国の生産動向である。