地域漁業研究
Online ISSN : 2435-712X
Print ISSN : 1342-7857
論文
韓・日間の養殖魚類の貿易動向と産業競争力
韓国の日本産養殖マダイの輸入を事例として
柳 珉錫山尾 政博
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ジャーナル オープンアクセス

2007 年 47 巻 1 号 p. 65-89

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抄録

近年,韓国の日本産マダイ輸入が顕著に増加している。また,国内のマダイ生産量も急速に伸びている。本論文では,養殖マダイの貿易と生産の動向を規定する諸要因を明らかにし,今後の活魚輸入の展開を予測していくことである。具体的な手順は,第1に,韓・日両国の養殖マダイの生産および貿易動向を分析すること。第2に,韓・日両国の養殖環境を比較検討することで,貿易量が変化していく原因を明らかにすること,第3に,以上の分析を通して,今後の韓国と日本の間のマダイの貿易を展望することである。

韓国が日本からマダイ輸入をはじめたのは1980年代後半だが,現在では,国内マダイ消費量の約30~60%を日本から輸入していれる。日本産マダイが韓国市場を席捲するようになったのは,その競争力の強さにある。韓国の日本産マダイ輸入量は過去10年の間,年平均47%の高い増加率を見せた。日本産活マダイ運搬船の入港地は90%以上がトンヨン付近である。トンヨン付近に輸入港が集中しているのは,この周辺に養殖マダイの主産地が立地していることによる。韓国のマダイ輸入量が変化する主な要因として,国内マダイ消費量の変化,それと日本の円に対する韓国ウォンの為替レートの変化があげられる。

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© 2007 地域漁業学会
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