地域漁業研究
Online ISSN : 2435-712X
Print ISSN : 1342-7857
論文
南アジアのシーフード産業の多角化戦略
多角化は市場拡大を実現するか?
デ・シルパ アチニ山尾 政博
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ジャーナル オープンアクセス

2007 年 47 巻 2-3 号 p. 125-142

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抄録

水産物に対する需要は拡大を続け,輸出業者は多角を通してより高い利益を確保するために輸出仕向け先を変えている。本論文は,政府のセーフティー・ネットの存在なしに,そして競争相手との関係が激化するなかで,シーフード製品がどの程度まで多角化しているかを検討することである。先行研究の整理,二次的資料の分析,関係者に対する聞き取り調査を実施し,過去の傾向と将来予測をおこなう。対象国をインド,パキスタン,パングラデイシュ,モルデイブ,スリランカとし,2000年から2003年のシーフード輸出に関する数値を分析し,シーフード生産者が市場シェアの喪失と世界市場での競争激化に対応してどの程度の多角化をしてきたかを明らかにする。Herfindhalの多角化指数を計算した結果,南アジアでは2000年に0.36であったが,2003年には0.27まで低下している。インドとスリランカでは,パングラデイシュとパキスタンと比較して,製品の多角化が進んでいる。一方,モルデイブではツナ製品に特化する傾向が強い。世界のシーフード市場がダイナミックに動いていることから,南アジアでは生産者による一つの傾向が示されるよりも,国レベルでは多様な対応がなされていると考えられる。

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© 2007 地域漁業学会
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