2007 年 47 巻 2-3 号 p. 99-124
本研究は,食用に利用されるカペリンの対日輸出向け生産・貿易に関する活動の詳細を把握し,関係国間の活動特徴や品質の違いから生じる流通上の位置づけを比較する。
カペリンの生産国では,積極的な食習慣,大きな需要が存在しない。そのため,食用カペリンの多くは,当初から輸出を目的に生産,製造されるアイテムとして位置づけられ,活用される。食用カペリンの生産・貿易は,まず最も価格が高くつく対日輸出向けのメスカペリンを抜き取り,加工や取引をすることから始まるので,活動における日本市場の影響力は比較的大きくなり,その動向が重要視される。
各国のカペリンに対する日本の加工業者の評価・需要は、基本的には,サイズや形,卵率,脂ののり具合のバランスが良いノルウェー産が一番高い。もしノルウェーが不漁・禁漁になれば,輸入業者は,評価2位のアイスランド産で集荷をカバーしようとする。魚群の特徴が影響して,NFカペリンの位置づけは3カ国の中で幾分不利である。魚群の特徴の違いは,干しシシャモの商品規格,パッキング尾数や方法,販売先,価格の違いに反映される。