地域漁業研究
Online ISSN : 2435-712X
Print ISSN : 1342-7857
論文
学校給食における水産物調達システム
横浜市の事例を中心として
村上 陽子
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ジャーナル オープンアクセス

2008 年 48 巻 1-2 号 p. 61-82

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抄録

本稿の目的は,食生活をめぐる社会環境変化の中で,学校給食の水産物仕入条件がどのように変わってきたかを,学校給食システムとの関係で明らかにすることである。

給食システムを調理と食材仕入の両面から整理すると,a単独校方式,b給食センター方式,c一括共同購入方式の3タイプに類型化できる。単独校方式では栄養士と仕入先である魚屋との間で顔の見える関係があり,その上で水産物が取引されている。bタイプは数校分をまとめて調理するので,水産物需要はaのタイプより大きく,競争入札により仕入コストの削減を図っている。cタイプは大都市で普及している方式である。市内の給食需要を一括し大型化することによって,調達コストの大幅な削減と食材流通の効率化を図ることができる。横浜市では安全な水産物をより安く調達するため,学校給食会を軸に納入業者や加工業者を巻き込んだサプライチェーンを構築している。cタイプでは水産物供給者に対し厳密な規格と価格努力を要求する。

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© 2008 地域漁業学会
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