地域漁業研究
Online ISSN : 2435-712X
Print ISSN : 1342-7857
論文
共有資源の共同利用とその管理について
広域的漁業管理組織構築を目指して
田中 史朗
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ジャーナル オープンアクセス

2008 年 48 巻 1-2 号 p. 83-102

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抄録

本稿は,兵庫県海域に隣接する西の備讃瀬戸,東の大阪湾,南の紀伊水道における小型機船底曳網漁業に関する広域的漁業管理組織構築に向けてのネットワーク作りの現状と課題,そして漁業者と行政との関わり如何が広域的漁業管理形成にどのような影響をもたらしているのかを明らかにしたものである。

広域的漁業管理組織を構築するにあたっての要諦は,第一に,水産資源悪化の状況を公的研究機関が具体的数値で漁業者に提示し,漁業管理に関する啓発活動を進め,第二に,試験曳きなどを通して管理効果を検証しつつ漁業者の間に漁業管理意識を定着させ,第三に,漁業管理のための集団組織化が立ち後れている地域にあっては,行政が先導役となって共通の漁場を利用する漁業者集団を一つの構成単位として組織するとともに,隣接海域の漁業者集団との連携強化のためのフレームワーク作りの手助けをし,第四に,次世代の漁業を担うリーダー養成のために漁協青年部への積極的なテコ入れを行えば,漁業者主導の官民一体となった広域的漁業管理組織のネットワーク化実現への道が開けてこよう。

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© 2008 地域漁業学会
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