地域漁業研究
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研究ノート
伝統漁業の再産業化と地域社会の変容に関する予備的考察
与那国島におけるカツオ漁を事例に
吉村 健司
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ジャーナル オープンアクセス

2013 年 53 巻 1-2 号 p. 109-127

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抄録

沖縄県は,かつては日本でも有数のカツオの漁獲地であったが,近年では風前の灯である。しかし,与那国島ではカツオ漁が産業として復活を遂げ,現在,それに伴い漁業者の生業戦略や社会経済の変化が起き始めている。本稿では,与那国島社会で見られる変化について報告する。また,与那国島のカツオ漁研究が提供しうる漁業地域研究の可能性について言及する。

現在の与那国島漁業の中心はカジキ漁である。歴史的には与那国島は八重山諸島におけるカツオ漁の先進地域として栄えた。しかし,1980年代より経済的な点から,カツオは未利用魚となり,カツオ漁はカジキ漁の餌漁業という位置付けに変化した。その後,2010年から石垣島の企業によってカツオ漁が再び産業化した。カツオ漁の再産業化は漁業者の漁業形態,流通形態に対して変化を与えている。これらの変化は,漁業の安定化や新たな漁業収入の提供といった変化をもたらす一方で,社会関係の変化をもたらす可能性を有している。

本研究は,漁業の多面的機能論における文化的位置付けを明らかにするにあたって,きわめて示唆的である。これまでの漁業関連の文化研究では,魚食や信仰といった個別的な事例に特化されていた。しかし,漁業の変化による社会関係の変化,さらに,その社会関係によって構成される各種の文化の諸相を民族誌的記述によって捉えることによって,漁業の文化的多面的機能が明らかにすることができるものと考えられる。

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© 2013 地域漁業学会
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