平成19年厚生労働省省令第54号「水道におけるクリプトスポリジウム等対策指針」に示されたとおり, 日本国内の一部の上水道において紫外線照射の適用が可能となった.しかし, 紫外線照射槽における消毒効果は槽内の不均一な紫外線強度と分布を持つ滞留時間の積である紫外線照射量により決まるため, 紫外線照射槽の消毒効果の予測は一般に難しいと考えられている.
そこで, 本研究では2種類の紫外線照射槽を用いて不活化実験とトレーサー実験を行い, 紫外線強度がより均一な紫外線照射槽の結果から, より高効率の紫外線照射槽の性能を予測することを試みた.その結果, 従来用いられてきた簡便な半径光による紫外線強度分布から得られる消毒効果予測値よりも, 新たに考案した修正半径光による予測値の方が実測値をより適切に表していた.また, 修正半径光を用いた場合, 紫外線照射槽外管の内表面での紫外線強度より大きくかつ平均紫外線強度よりも小さい紫外線強度で, 消毒効果が定まっていることが説明可能であった.