環境技術
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研究論文
油脂分解菌を用いた厨房排水の浄化に関する研究
龍田 典子横堀 加奈里井上 綾案浦 謙二手嶋 功上野 大介井上 興一染谷 孝
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2009 年 38 巻 11 号 p. 801-809

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抄録

飲食店や食品工場の排水には,多量の油脂分が含まれていることがあり,下流側の下水管の閉塞防止や下水道への汚濁負荷低減を図るためにグリストラップの設置が義務づけられている.本研究では,グリストラップから新規に油脂分解菌の分離を行い,311株の分離細菌株から油脂分解能,タンパク質分解能およびデンプン分解能の高い分離株Aeromonas sp.KHUを選抜した.本菌の培養および保存性に適した培地を選定した結果,この培地中で安定した菌数を30℃で約5週間維持できることを培養法および蛍光染色法により確認した.本菌を厨房排水処理に適用する目的で,その油脂分解性を実験室で測定した結果,厨房排水に含有する油脂分(n-ヘキサン抽出物)濃度の高低にかかわらず15~48時間で86~91%の高い分解率を示した(油脂分解速度:20~46mg/L/hr).さらに現場適用試験の結果,300Lのグリストラップに本菌を毎晩100mL接種することにより油脂分が90%以下にまで分解され,約5週間の試験期間中,油脂分濃度を40mg/L以下に維持した.

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© 2009 環境技術学会
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