2009 年 38 巻 9 号 p. 624-632
わが国の廃棄物発電はエネルギー政策,施設整備計画によって推進されてきたが,ダイオキシン類削減施策により排ガス処理プロセスの高度化,灰溶融の導入により廃棄物発電システムは大きく変わり,灰溶融炉付設システムやガス化溶融システムなど高度な中間処理施設となった.一方,ダイオキシン類対策により施設の全連続化・広域化は進んだが,発電規模として望ましいとされる300t/日以上の施設は増えず,300t/日未満の施設での発電が多くなっている.2007年度までに稼動している廃棄物発電の発電量,購入電力量,消費電力量,化石燃料使用量の維持管理データを調査した結果によると,焼却能力が小さくなるほど消費電力量が増加し,溶融に化石燃料を消費しており,発電はしているもののエネルギー消費型の施設となっている.今後,さらに大きな広域化によって300t/日以上の施設を増やすか,複数の地域で灰溶融を含めた灰処理のみ集合化することが必要になると考えられる.