2017 年 68 巻 1 号 p. 34-36
Tinissa 属(ヒロズコガ科オオヒロズコガ亜科)はWalker (1864)によって,T. torvella Walker, 1864 をタイプ種として設立され,世界で 41 種が知られる(Robinson, 1976; Yang and Li, 2012).最近,円谷・坂井(2013)は,インドから中国に分布する本属の一種 T. indica Robinson, 1976を沖縄県の石垣島から記録し,「カビラクリイロヒロズコガ」という和名を与えた.この記録は本属の日本初記録である.
筆者は大阪府立大学の所蔵標本より,鹿児島県の屋久島で採集された本属の標本を確認し,斑紋および交尾器よりクリイロヒロズコガ(新称)Tinissa leguminella Yang and Li, 2012と同定した.本種は,中国雲南省産の雄個体に基づいて新種記載された.本研究では,本種を日本から初めて記録し雄成虫と雄交尾器の写真を図示した.
Tinissa leguminella Yang and Li, 2012 クリイロヒロズコガ(新称)
前翅長:9.0 mm.
本種成虫の斑紋は T.indica とほぼ同じであるが,雄交尾器の形態で識別が可能である.本種はT.indica と比較すると,ウンクスの長さは約2倍,ビンクルムの幅は約4倍,ユクスタの長さは約1/2,バルバの前方の突起の長さは約2倍,挿入器のカリナの長さは約1/3である.また,本種のウンクスは豆の鞘状,スブスカヒュウムは分岐,ユクスタは角状,バルバとユクスタの間の膜質部から出る突起は背腹方向にほとんど平行であるのに対し,T.indica のウンクスは三日月状,スブスカヒュウムは三角状,ユクスタは拳状,バルバとユクスタの間の膜質部から出る突起は指状である (Yang and Li, 2012).なお,本種の雌は知られていない.
本属の多くの種の幼生期や寄主など生態はほとんど知られていないが,T. torvella Walker, 1864 は竹のキノコ類から得られたという(Robinson, 1976).また,本属は前翅の翅脈 のR4 とR5 が中室から1/3 あたりで融合するという特徴を持つ(Robinson, 1976; Yang and Li, 2012).寄主:不明. 分布:日本(屋久島,鹿児島県);中国(雲南省).