環境技術
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研究論文
アスベスト曝露による健康リスク低減対策の費用対効果
藤長 愛一郎日原 秀美辰野 誠
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2011 年 40 巻 3 号 p. 144-150

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抄録

本研究では,アスベスト曝露による健康リスクを低減させるために,建築物の解体などによって発生する飛散アスベストの対策方法を3ケース設定し,各対策実施後の一般環境の大気中アスベスト濃度を予測してリスク評価し,さらに対策費用を試算することによって,各対策の費用対効果を比較検討した.設定した対策方法は,ケース1「機械破砕による解体後,最終処分(対策なし)」,ケース2「手ばらしによる解体後,最終処分」,およびケース3「溶融処理による無害化」とした.その結果,機械破砕による解体を続けていれば,2020年の時点で許容リスクの上限値と考えられる10-4を超過している.しかし,手ばらしで解体すれば,2010年で既に10-4は満たしており,許容リスクを環境基準レベルの10-5で考えた場合は2030年までには満たす計算結果となった.また,溶融処理については,最終処分場での管理リスクが削減されるもののコスト面で不利であることが示唆された.

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© 2011 環境技術学会
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