我々は,紫外線照射によるアレルゲンタンパク質の不活化効果を高めるため,紫外線の波長がアレルゲ ンの不活化効果に与える影響を調べた.実験は,複数の紫外線光源とバンドバスフィルターを組み合わせた8種類の紫外線を用いた.その効果の大きさは,精製スギ花粉抗原Cry j 1溶液に各紫外線を照射し,抗原抗体反応が起きるアレルゲンの濃度の変化によって評価した.この結果,波長が240nm から220nm の間では,波長が短い紫外線ほど不活化の効果が大きくなることが分かった.この要因は,波長に対する効果の変化が一般的なたんぱく質の吸光係数と類似していることから,アレルゲンタンパク質の紫外線の吸収量が波長になるほど増加するためだと考えられる.