琵琶湖南湖の水質監視あるいは分布特性の把握を容易にするために, その水質分布特性に応じた合理的な地域分割を試み, その妥当性を検討する.まず任意の2地点間の富栄養化指標の濃度差から計算される新たな統計量を求め, それを採水22地点のすべての地点組合せに適用して, 湖内地点間の類似性を定量的に評価する.この統計量は特定グループ内の採水地点の組合せでは高い値を示し, グループ間の採水地点の組合せではきわめて低い値であった.その結果, 南湖内の22採水地点は流入端, 流出端, 北部, 南部, 東部の5つの特徴的な地域に分割された.この分割の妥当性を線形判別分析で検証した.本方法では水質データから判別関数が算出され, 各地域について正しい判別率が計算される.その結果は, 判別関数により各地域の水質変化特性が定量的に表現でき, 各地域の約65%のデータがその地域に属することを推定できることを示した.