2022 年 28 巻 p. 85-90
2019年東日本台風による広域かつ甚大な浸水被害を受けて,国土交通省は粘り強い河川堤防の技術開発に着手した.東日本台風では全国で142箇所の河川堤防が決壊し,そのうちの122箇所の決壊要因が越水であった.河川堤防の決壊箇所では,堤体及び基礎地盤が流失し決壊の進行過程を把握するための痕跡はほとんど残されていない.一方,決壊に至らなかった河川堤防の越水箇所では,堤防の壊れ方を把握するための貴重な痕跡が残されている可能性がある.本論文では,こうした越水箇所の堤防の壊れ方を越流水深,裏法面に作用する流速,裏法面植生の根毛量,引張破壊応力,土質等の観点から考察し,粘り強い堤防構造を検討する上での留意点を整理した.